●ガープの世界
The World According to Garp(1982)

〈欲望という名のあらすじ〉
類い希なる出自のガープは、超個性的な母親の元で感受性豊かに育つ。やがて母は半生を綴った本を出版、ベストセラーとなり時代のオピニオンリーダーに。その影でガープも作家として歩み始めるが、彼らの周りでは常に様々なことが起こり…。

・ばらばらにしたら、それだけで3本ぐらいの映画が出来そうなエピソードばかりで成り立っている話ですが、劇的なことが起きているわりには大げさな描写ではないので、詰め込みすぎだとは思わない。むしろ、なるほどこれがガープの「世界」か、と納得。

・なによりもジェニーが面白い。良い悪いを超えてスゴイ母、人間だ。劇中でも言ってたけど、時代が求めた人というのはパワーがありますね。母は『欲望』(lust)を連発するけど結局それが何なのかを知らないわけで、とても無邪気、無垢、そしてタフ。子であるガープはちょっと控えめながらも、自己主張の強い青年。強い母と子の組み合わせって、こういうパターンが多いような気がする。ジェニーの世界と深く結ばれてるガープの世界。

・ヘレンの下りとか、自分だったらそれは納得いかんな、と思うこともあるけど、ガープワールドはそれでいいんだろう。人生は悲喜こもごもなのね。ガープの場合は悲喜爆裂って感じだけど。

・グレン・クロースは綺麗。こんなに美人さんだとは知らなかった。この人がジェニーみたいなぐらいピッタリの配役。ジョン・リスゴーはくりいむしちゅーだった。

・余韻が残る話で、しばらくガープの世界で遊べます。「グレートマザー物語」の要素たっぷりだけど、湿っぽくなくていい。オチも悪くないと思う。ガープならそれは有りえる。

・ポールの歌もグー。アーヴィングの原作も読んでみようかな。

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