ときどき見ていた「純情きらり」なんですけど、朝ドラの主人公が道半ばで死んで終わるなんて、ちょっと(かなり)驚きだ。
苦難を乗り越えて味噌屋として成功するのかと思いきや、また音楽に復帰するし、そこでまた夢を達成するのかと思えばいきなりプツッと終わってしまったよ。
これも韓流ドラマの影響なの?
どーゆーコンセプトだったのかわからん。
ナイーブ&リリカル路線の反動で、次はめったなことではへこたれそうにない藤山直美を起用したのだろうか。うーむ。

----------------------

●きみに読む物語
The Notebook(2004)

**あらすじ**
身分違いの恋に燃えるアリーとノアの物語を、老婦人に読んで聞かせる老人の思惑は……。

・これもまた思った以上にスタンダードなシチュエーション。
まるで昔の大映ドラマか韓流かという設定。しかも身分違いと言っても、アメリカと日本ではニュアンスがちょっと違って、日本の場合、もっと悲壮なムードが漂うんだけどアメリカだとどうもクラスの隔たりがはっきりとしないので、若干のズレを感じる。

・映像が美しいので、最初からスルッと入っていければ最後上手いこと感動して終われるんだけど、今回肝心のアリーとノアにあんまり感情移入できず、ノリ切れなかった。

・しかもオチがまた悲しい……。結果的には純愛のファンタジーでハッピーエンドなのだが……うーんそれでいいの?みたいな印象が。長い年月にわたる愛情の物語なんだけど、寂しさのほうが先に来るので、切ないというよりなんか悲しい〜。

・同じように死んでしまうとしても、先に見た「幽霊と未亡人」のようにペーソス漂うほうが好きです(ま、ストーリーのタイプがぜんぜん違うので比べようがないですが)。

・あの少女がジーナ・ローランズになるのか……年月のマジック…。
●幽霊と未亡人
The Ghost and Mrs.Muir(1947)

**あらすじ**
海辺の館を一目で気に入りロンドンから越してきた未亡人。だが館にはかつての家主が霊となって留まっており何かと嫌がらせを。やがて心を通わせる二人。そして未亡人の長い人生の後には……。

・昭和22年の映画なのでとても古い。
だけどこれは面白いですよ。

・幽霊モノなので、今だったらCGでそれらしいシーンで盛り上げるところですが、古い映画なので『幽霊のつもり』で演出されているだけ。だけどそれがシックでシンプルでとてもいい。

・加えてレックス・ハリソン好きには、彼定番の「傲慢だけど純粋な男」を楽しめるのでお勧めです。そんでもって若い。
ヒギンズ教授も若かりし頃があったのね〜。
ちょっと三船敏郎が入ってる(船乗りの役だからか?)。

・未亡人=ミュア夫人のキャラクターもいい。
意地っ張りで頑固だけど可愛いし、素直。誰が見ても胡散臭い男に騙されるのも愛嬌。それを見守って身を引く幽霊。いいねーレックスさん。
娘役でこれまた若き日のナタリー・ウッドが登場。

・切なく終わるのかなと思いきや、ある意味とてもハッピーエンディングで夢のある終わり方でした。
派手な仕掛けがない分、ほのぼのします。
●レベッカ
Rebecca(1940)

**あらすじ**
後ろ暗い過去を持つ大富豪マキシムと恋に落ちて、電撃結婚をした庶民派の女性。マンダレーと呼ばれる大邸宅には、あらゆるところに前妻の影が……。

・有名な映画なので、おおよそのストーリーは知っていたのですが、後半レベッカのヨットが見つかってからの展開が意外と長かった。女主人公がレベッカの影に追い詰められていって、もっとサイコサスペンス風になるのかと思ってた。

・それはさておき、ちょっとビビりすぎじゃないのかね、後妻さん。確かに相手のおうちも確認しないままに結婚しちゃうのはどうかと思うけど、そないに卑屈にならなくても……。
しかしそこで、レベッカを崇拝するダンバース夫人を即効クビにしちゃうようなタイプでは話が始まらないか。

・レベッカ本人は登場しないしないながらも物語全般を支配する演出。面白いのですが、いきなり物語が終了してしまったような感があり、あれっ?と思ってしまいました。

・結局気味が悪いのダンバース夫人だけでしたね。
あのあとマンダレーの使用人たちはどうなったんだろうなぁ。
みんな仕事を失ったのかしら……
と考える私も庶民派。
大金持ちも後妻さんになるには腹をくくらねばなりません。
MGM制作のミュージカルの見所を集め、往年の女優・俳優が当時を語る映画。
このうちBSで1と2を見た。
本当は、ここで紹介されているミュージカルを楽しんだ後に見ると感慨もひとしおなのでしょうが、自分にとっては未知の映画ばかりなので見本市的な感覚で見ていました。

以前はどうもミュージカルの世界に入っていけなくて、馴染めないなぁ……なんて思っていましたが、最近素直に「あれ、面白いんじゃないの」と感じるようになってきた。
頭であれこれ考えて見るものではないですね、見て楽しいのがミュージカル。
なんせ「これが娯楽だ!」というぐらいだ。

しかし全盛期のセットのゴージャスなこと。
思わず「なんだそりゃ!?」とつっこんでしまうほどきらびやかで目がくらむような演出。
その頃に比べると、今のハリウッドはいくら派手でも小さくまとまってる感じ。
時代が違うということでしょうか。
●噂の二人
The Children’s Hour(1961)

***あらすじ***
カレン(オードリー・ヘプバーン)とマーサ(シャーリー・マクレーン)は二人三脚でお嬢様学校を経営、評判も良い。しかし一人の生徒の嘘から二人の信用は失墜、さらに思いも寄らなかった真実が明かされる……。

・題名からは、なにやらコメディタッチのおしゃれなラブロマンスを(ヘプバーンだし)を想像していましたが、そのおかげで物語が予想外に進んで行く面白さを堪能することができた。

・この物語のキモは、とにかく小憎たらしい生徒のメアリー。10人中10人が「この口かっ!」と頬をつねりあげたくなるような生意気さバクハツ娘。また表情に憎たらしさが満ち溢れていて、笑ってしまうほど腹が立つ。
その点では原題のThe Children’s Hourにまさにぴったり。

・しかしそれらのエピソードは物語の核への導入部であって、結局二人の女性の心の関係に焦点が当たってエンディングに向かうというのがなかなかスリリングで面白かった。
主人公たちが不利な状況に陥っていくのは、確かにアホ娘メアリーのせいなのだが、それをきっかけに自分の内面を直視することになった彼女たち。
ラストのきっぱりとしたヘプバーンの表情は印象的でした。
●赤ちゃん泥棒
Raising Arizona(1987)

***あらすじ***
行き当たりばったりの元強盗と警官のカップルが、こどもを授からないので子だくさんの家から赤ちゃんをかっぱらってしまったことから起きるドタバタ劇。

・コーエン兄弟なんだそうですが、彼らの映画は他に「レディ・キラーズ」しか見たことがない。けど、持ち味がなんとなくわかったようなような気がする。特徴的。人物と景色がうまく溶け合って、乾いた雰囲気を盛り上げているのが面白い。

・ニコラス・ケイジはやっぱりマンガ(みたいな)キャラがよく似合う。実生活でもマンガっぽそうだし。この頃は毛量が豊富で、あまつさえ寝癖までついちゃうくらいだったのにね。でも個人的には彼は薄いほうがイケてると思う。どーでもいいが。

・謎のバウンティハンターとか昔のムショ仲間とか、あの辺りが楽しめたらアハハーと笑えるのだろうけど、自分には今ひとつ合わず。でもこういうスタイルは嫌いではないので、また別の作品も見てみたい。

・バコッと殴られた後のニックのアップが、いかにもギャグマンガみたいで一番ウケた。
ブラックコメディ的な割には、オチがハートウォーミングタッチなのも意外で良かったかな。
なんかわからんけど、ほんまヨーコが好きなんだねジョン。

所詮人の家の事情なので、実際のところどうだったのかはわかりませんが、奥さんとしては自分のため(だけ)に歌ってくれるのは嬉しいものでしょうなぁ。

「ヨーコは自分の一部」と言うジョンが、当たり前のように彼女と行動を共にしたことによって周囲の反発が大きかったというが……。
確かにポールなどからしてみれば、
「え、なんでお前がここにもあそこにもおんねん!?」
と、ギョッとしたんだろうなー。
まさにHere, There, Everywhere。
それでまた臆することなく存在感をムンムン出してるヨーコ。それが嬉しいジョン。構図的にはちょっとユーモアを感じますが。

しかし考えてみれば、今セレブがブームだけれど、ヨーコなんかまさに元々がセレブ中のセレブで、ジョンと結婚したことによって超セレブに到達したはずなんだけど、あんまり『オノ・ヨーコさんに学ぶセレブな生き方』みたいな特集は組まれないね雑誌とかで。
やっぱり毛を出したから?
毛は非セレブ?

オノ・ヨーコってシンプルな名前で良かったね。
もし「ムシャノコージ・カオルコ」みたいだったらジョンもなかなか名前を覚えてくれなかったかも知れない。

この映画に出てるショーン・レノンはまだ少年で、まるでハリー・ポッターの挿絵みたいな顔してます。服装も。
なんだか疲れたときの一服の清涼剤的映画がコレ←。

清々しい気持ちになるというよりは、たまった毒素がプシューと抜けるような感じ。
なにより、見ればみるほど笑いが止まらないのがたまりません。
もちろんバカにして見てるわけではないよ。
ニックとトラボルタの色んな意味で濃いすぎる共演、ジョン・ウー!ジョン・ウー!とスタンディングオベーションをしたくなる展開、いやー何度見ても楽しいねー。
冒頭、ニックのロングコートが無駄にはためいているスローモーションだけで、腹を抱えてしまいますカッコ良すぎて。

というわけでちょっと毒抜き。
プシュッ。
ちょっと前にニュースになった「ブッシュ大統領がそっくりさんと漫談」というやつ、なんでウィル・フェレルにオファーしなかったのだろう。盛り上がりすぎるから?

………

●奥さまは魔女
Bewitched(2005)

***あらすじ***
魔法を使わない生活に憧れて人間界にやってきた魔女イザベル。ひょんなことから落ち目の俳優ジャックにスカウトされ『奥様は魔女』のリメイク版のサマンサ役に起用されることに。

・思ったよりウィル・フェレルがウィル・フェレルだったのにびっくり。
ので彼に馴染みのない人には「なんじゃこのオーバーアクションの役者?」と思われたであろう。個人的にはロン・バーガンディ(『俺たちニュースキャスター』参照)と被るジャックは面白かったのですが。(アクターズ・スタジオの)リプトンさんとの共演とか。
勝手にウィルは真面目に演技してるんだろうと思ってた。相手がニコールだし。にもかかわらず「ウィル色」がけっこう濃厚な演出だったので、制作の冒険心と遊び心にパチパチ。
まあそうじゃなきゃわざわざ彼をキャスティングしないよね。

・ニコール・キッドマンはかわいいね〜。実はこれまで彼女が出てる作品を見たことがなかったのでなんとなく「頭が長い人…?」としか思っていたのだが気のせいでした。横にトムがいる画像ばかり見てたからか。60年代風の色彩やファッションも似合ってるし、目の保養。

・話のほうは、久々に「ないよーん」な内容なのでどうでもいいのだが、スルッと見るにはいいかも。
ちょっとズレた男と女のラブコメディなので、なんでやねん的つっこみも適度に入れられたし。
ウィル好きには嬉しい誤算の収穫。

・だけど何気に時間を自在に操る魔法って……エスパー?
魔女一族が決起したら世界征服も簡単そうだ。
GW……?
それっておいしいの?

●さよなら、さよならハリウッド
Hollywood Ending(2002)

***あらすじ***
かつての天才映画監督ヴァル、逃げた女房にいつまでも未練たらたらで今ではさっぱりうだつが上がらない。起死回生のオファーが舞い込むが、前妻とその婚約者が絡んでいるのが気に入らない。しぶしぶ仕事を始めたら、ストレスのあまり失明し現場は大混乱。

・ウディ、いくらなんでもおじいちゃんすぎないか(そのキャラクター設定に対して)。

・若くても年取ってもウディ・アレンはいつまでたってもウディ・アレンなので、話の内容もいつも通りのアレン節で楽しめるのだが、持ち味が不変なゆえ、かえって彼のおじいちゃんぶりが際だっており、なんとも「ああおじいちゃん……!」と思わざるを得ないよーな、嬉しいような悲しいような(byきんさんぎんさん)。

・この作品の場合、彼のキャラクターはもはや記号みたいなものだと思えば、それはそれで楽しめますが。同時に彼のストーリーに常に織り込まれる彼特有の不平・不満・身勝手で卑屈な(たまに可愛げのある)愛情などには衰えない執着を感じて、妙な安心感をおぼえたりもします。
全体的に悪くはないのだが、自分の中ではウディ・アレンはもう定量に達したかな?という気分。

・Hollywood Endingだから、まあハッピーエンドでいいんだけれど、でもどう考えても映画プロデューサーの彼のほうが良くないかね。
やっぱりティア・レオーニとキスしたかっただけ?
いずれスカーレット・ヨハンソンとも?(しようと思ってる?)
●世界中がアイ・ラブ・ユー
Everyone Says I Love You(1996)

〈あらすじゴンドリアン〉
ニューヨークに住むエグゼクチブ一家に起きる色々な出来事を、なぜか音楽にのせてお茶の間に送ります。提供はウディ・アレン。

・なんか面白い。
ウディ・アレンのなんちゃってミュージカル。んが体裁は十分保っていて、明るく楽しい仕上がり。ニューヨークの四季も美しいし、ベニスやパリの景色も目に楽しい。
いつも通りの喜劇に、ところどころ歌と踊りが挿入されているわけですが、面白いのは「え、あんたも歌うの」「そこで歌うの?」というシチュエーションの意外性。ミュージカルを愛をもってパロっていて笑える。

・それにしても「アレンのアレンによる、アレンのための映画」ですねー。本人が監督なのだからそれは当然かも知れないが、しかしこれは如実。なぜ自分自身がそんなにモテる設定を作るかね。いや結局はパターン通りのフラレ男なんですが、ジュリア・ロバーツと単にキスシーンをしたかったのでは。さすが。

・アレンの映画には年中行事(感謝祭、クリスマス)で家族が集まってワイワイ食卓を囲むシーンが必ずといっていいほど出てきます。そこで話されている内容はほとんどとりとめのない会話なのですが、それを見るのがけっこう好き。何が面白いというわけでもないけれど、ありふれた生活を感じて和みます。
●サハラ 死の砂漠を脱出せよ
SAHARA(2005)

〈あらすじガンシップ〉
すーなのー嵐にかくさーれたー♪謎とお宝を追うトレジャーハンターと美女が巻き込まれる国家的陰謀、そして危機一髪の脱出劇。

・サハラという魔法瓶があったなそーいえば。と思い出したのも、登場人物たちの水分補給が気になったからでした。見終わったら口の中が砂でいっぱいの気分。でもみんな爽やか、ペネロペさんの髪もいつもツヤツヤ。うーむ。

・観客が見てようが見てまいが、なんかもー勝手に盛り上がってくれてるような話。定石どおりのアクション、友情、恋心が次々に展開、オチもきっちり公式通りに算出されましたという娯楽映画のお手本のようだ。
アメリカ人って楽しそうでいいですね。

・なにげに一人で大活躍してる相棒(スティーブ・ザーン)。
彼がいなかったら大惨事になっていたところだが、悲しいかな美女も目撃してくれてないし、孤独な善行を積み上げても周囲の評価が低かったり。彼はきっと日常的に、横断歩道でおばあさんの手を引いたり、子犬を拾ったりしてるに違いない。いい人だ。想像。でもいつも誰も見ていない。

・ほんであの装甲艦はなんでアフリカまで行ったんだっけ?
見終わった途端に、話の内容が頭から消失。砂漠の中に落としてしまいました。
●Shall we Dance?
Shall We Dance(2004)

〈あらすじパソドブレ〉
漠然とした乾きを抱える中年男のジョン。社交ダンスを始めたことによって、豊かな気持ちを取り戻す。日本版とまったくいっしょ。

・ジェニファー・ロペスがなんとなく好き。特に理由はない。
そこはかとなくニコラス・ケイジっぽいからでしょうか。おめでたい明るさを感じるという点で(褒め言葉)。

・なにもこんなに同じにしなくても、というほど一緒なんですが……おかげで相違点がくっきり見える。こんなアメリカ人いるのか?という素朴な疑問が。
自分から習いに来ておいて、もじもじする主人公。どうしたいのだ。日本人だったらハダでわかるその感覚ですが、それってそのまま外国でも通用するのかね。
結局何が物足りなかったのさー、とリチャード・ギアには思ってしまうが、なぜか役所広司には違和感なくて、むしろ「うんうん」て感じだったのよね。不思議だ。

・しかしこういう試みは面白い。リメイクというよりコピーに近いおかげで、文化の違いを楽しめます。ブラピがやるという「インファナル・アフェア」も寸分違わぬリメイクだったら面白いだろうなぁー。日本でも「Sayuri」を敢えてそのまんま作ってみるとか。なんだかわけわからなくなりそうだ。

・ラストに「シャル・ウィ・ダンス?」とダンスの先生が言ってシメるのも周防版と同じなのだが、いかんせん言語がそもそも英語なので、ピシッと決まらないのが残念。
草刈民代(つまり日本人)が言うと粋に聞こえるんだけどね。
●サイダーハウス・ルール
The Cider House Rules(1999)

〈あらすじ園〉
孤児院で育ったホーマーと、彼を見守る産科医の親子に似た関係。ホーマーは自分の可能性を試そうと孤児院を離れ、様々な経験を経て自分のやるべき「仕事」に辿り着く。

・「ギルバート・グレイプ」などで有名なハルストレム監督と、作家ジョン・アーヴィングのコラボ。持ち味が重複してクドくなるかと思いきや、さらさらと流れる物語。主人公の成長をしっかり見届けられた満足感が得られます。

・『お前の仕事はなんだ?』というセリフが印象的。自分は一体何者なのか、どこに向かっていくべきなのか…考えさせられる。

・トビーは「ん?」て表情が抜群にうまいので、(一見)淡々と生きている主人公にぴったり。ラーチ先生との交流にも泣ける。
ポール・ラッドも脇役で参加。普通だ……って、それでぜんぜんかまわないわけですが。

・作家つながりか、はたまた舞台がメイン州だからか、スティーブン・キングがメイキングにコメントを寄せていた。な、なんかエスパー伊東みたいなんですけど。イメージと若干ギャップが。しかし服はL.L.Beanっぽかったね。さすがメイン。アーヴィングさんは思ってたような風貌でした。

・この監督の映画は、空が高いので、広々とした空間と素朴な景色が楽しめる。切ない人間ドラマも押しつけがましくなく、じんわり……。
新春一本目はこれ。
ウィル・フェレルを見る会・その2(1は昨年暮れに見た「エルフ」)

●俺たちニュースキャスター
Anchorman: The Legend of Ron Burgundy(2004)

〈郷に入ればあらすじに従え〉
伝説のアンカーマン、ロン・バーガンディと仲間のキャスター達。常に視聴率トップで恐いものなし!だが一人の女性キャスターが加わったことで歯車が狂いはじめ、瀬戸てんやわんや。

・こ、これはすごい……まごうことなきアホ……!ばったり(←アホすぎて倒れる)ストーリーには殆ど意味がありませんが、見終わるとなぜかちゃんとした物語があったような気がするのが不思議です。

・一貫しているのは常に「子どもレベル」をキープしていることです。シモネタもまさに子ども。なんというかむかーしのギャグ少年漫画のような。色んなことをやってきて、結局ここに戻ってきたよーということなのか、なんとも安定したベタ感。経験を重ねたものだけが到達できるベタへの回帰現象と言えるだろう(ウソ)。

・すべてがジョークで固められているため、突っ込みだしたらキリがないですが、各局入り乱れての乱闘がアホすぎて泣ける。公共放送キャスター(カメオ出演のティム・ロビンス)の『CM無用、情けも無用(No commercials, no mercy)!』という雄叫びが最高です。NHKにも参戦してほしい。あとクマと犬の魂の会話。サンディエゴといえばパンダしかないのか、というのも笑えた。(サンディエゴ大好き!)

・女性がまだアンカーマンとして認められなかった時代の話で、男尊女卑をのし上がっていく女の痛快劇としても面白いですが、ま、それ以上にこの映画では、結局そこそこずる賢くて、でもお人好しなことには男も女も変わりがないというところを見せてくれてます。
なのでアホ暖かい気持ちになれるのだ!ドン!(力説)

・駄々っ子を演じさせたらウィル・フェレルは世界一。キレ芸も冴え渡る。フラット・パックの皆さん勢揃いで、チームワークも抜群。
コメンタリーがまた輪をかけてあほらしい。ブラボー。
お重の隅から隅まで楽しめます。うーんお腹いっぱい。こいつは春から縁起がいいや!

・この邦題はけっこういいですね、ロン・バーガンディには言及してないけど時代の雰囲気とマッチしてて。ひょうきん族あたりの空気感と似てるし。
ふー。
冷えますねー。

●天使のくれた時間
The Family Man(2000)

〈あらすじチリンチリン♪〉
13年前、恋人より出世を選んだジャックの現在は大金持ちの独身男。何不自由ないと思っていたが、クリスマスマジックによって有り得ないはずの彼女との結婚生活を垣間見る。心の幸福が何かに気づいたジャックは元恋人の元へ……。

・原題を今風に訳せば「家族男」か。マイホームパパという雰囲気ではないな。

・やっぱりニックはいい。前半のうろたえぶりの絶品さといったらもう……黒パン一枚の神々しいほどマヌケなお姿にも泣ける。自転車のベルを鳴らすところなんか最高です。

・嫌々ながらも割とあっさり馴染んじゃってるのがまた可笑しい。
しかし娘役の子が驚異的にかわいいのでそれも仕方ないか。あんな可愛い子が自分の子なのか……と考えたら家庭っていいかも、と思うだろう。

・ケイト(ティア・レオーニ)のハイテンションぶりがなんだかしっくりこなかった。
最後のキャリアウーマン風の方が似合ってたように思うのだが。はじけキャラではないのかな。でも確かに美しかったけどね。

・あのあとジャックの会社はどうなったのかなー。ちょっと心配。
結局、富と家族と両方手に入れるわけね。んーよく出来た話だ。

・だがクリスマスにはよく出来た話がぴったり。
思った以上にほっこりしました。ええ話や。


と言うことで、
少し早いですが、
Merry Christmas! and

皆様よいお年を♪
あやうく椅子が燃えるところだった。あぶないあぶない。
(ストーブに近づきすぎて)

●ベスト・フレンズ・ウェディング
My Best Friend’s Wedding(1997)

〈あらすじバカラック〉
マイケルとの関係は恋愛感情抜きだったジュリアン、しかしマイケルの結婚式に招待され、彼に片思いしていたことに気づく。手強いフィアンセから彼を奪還しようと裏技を駆使するが空回り……。

・こわっ。
コメディとサスペンスは紙一重なのだね。主人公のアイタタぶりに引くか笑えるかの違いでしょうか。

・でもこのジュリア・ロバーツにはしっくり来ました。妙に役柄にマッチしてます、根の明るい身勝手さにぴったり。
彼女とキャメロン・ディアスを愛でる話なので仕方ないかと思うけど、それにしてもマイケルに魅力が無さ過ぎる。二人の女が取り合うだけの説得力を感じられなくて困った。特に個性がないところが彼(ダーモット・マルローニー)の個性なのかしらん。
(私が見る限りでは)どの映画でもゲイ役のルパート・エヴェレットの方が、取り合いがいがあるように思えるけどねー。

・バックで流れるバカラックの曲がオースティン・パワーズと一緒。コメディと相性が良いようです。
●アメリカン・スウィートハート
America’s Sweethearts(2001)

〈あらすじジャンケット〉
女優の姉と付き人の妹。妹は密かに姉の夫に片思い中、けれど彼はわがままな妻に未練たっぷり。夫婦共演の新作をアピールすべく、敏腕宣伝マンがあの手この手でかきまわすおかげで、人間関係は一層ややこしくなり……。

・このぐらいの短さ(100分ちょい)のラブコメディはとにかく見やすくっていい。小粒でピリっとする暇もなく甘だるくてさ。
キャストはそれぞれ良い味を出してますが、ジョン・キューザックは国民的人気俳優に見えないし、ジュリア・ロバーツはちょっと痩せたぐらいでそんなに美しくなっていいのか?!納得できないし、誰?なクリストファー・ウォーケンはラッセンみたいに胡散臭いし(スマン)、このありえなさがコミカルの元かも。

・狂言回しのビリー・クリスタルだけはいかにもな感じ。
この人、なんでか目が笑ってないんだよね。そういうとこ好きですが。
彼が絡んでるせいか、ひょうひょうとした空気が楽しめます。

・キャサリン・ゼタ・ジョーンズが一番印象に残った。かわいいよ。

・あの監督が撮ったあの映画(最後に上映するやつ)なんだかNG大賞みたいなんだけど、そんなに面白そう?
ウィル・フェレルを見る会・その1

●エルフ
ELF(2003)

〈あらすじサンタ〉
エルフに育てられた人間・バディは北極でスクスク大きくなり過ぎて疎外感に悩む。そこへ本当の父親がNYにいると教えられ喜び勇んで会いに行くが、突然現れたピュアなタイツ男を受け入れてくれるわけもなく大騒動に。

・ウィル・フェレルの醍醐味は、そのなりきりっぷりにあると思う。
この映画の中では、彼は完全にエルフ。妖精さんとは対局にある立派なガタイでも、おめめぱちくり、ドリーミングな(一般の目からすれば)やばいタイツ男を好演してます。

・彼のインタビューによると「毎年見たくなるようなクリスマス映画の定番を作りたかった」そうで、そのためかハートウォーミングな仕上がりになっております(アホ可愛いだけじゃないけどね。ブラックあり)。
んが、私としてはやはり前半、規格の合わないエルフ社会でのコミカルな暮らしや、未知(NY)との遭遇での細かなカルチャーショックネタで笑わせてもらいました。
"Son of a nut-cracker!"とか。他のcurse wordも是非教えて頂きたい。

・だいたい見てるだけで可笑しいウィル・フェレルだから、その特性を大いに活かしたバカらしさがグッド。真面目にすればするほど面白い。天然ボケと計算ボケを併せ持っていて、このヒト素かも……と思わせるのがまたオカシイ。

・うーんアホ(←賛辞)。
久しぶりに行った映画館。
「あらしのよるに」と「キングコング」の予告編を観ただけでウルっとしてまう。
動物はそんなに好きでもないくせになぜか弱い私(キングコングて一般動物?)。

●ミート・ザ・ペアレンツ2
Meet the Fockers(2004)

〈あらすじの穴〉
恋人パムの両親+αを実家に連れていったグレッグ。厳格なパム父・ジャックと、自由奔放なグレッグ両親は気が合うはずもなく大トラブルに。

・面白いよー。
とにかくダスティン・ホフマン。良い感じに力が抜けていて、とても愛嬌があります。味のあるおっさんぶりがナイス。デ・ニーロも見せ場を奪われることなく、前作同様細かい表情で笑わせてくれるし、バーブラ・ストライザンドの安定感はものすごいし、思ってたよりかなり良かったですコレは。
お互いの存在をつぶし合ってないのが、大物俳優の余裕でしょうか。

・ただオーウェン・ウィルソンが出てきたあたりから(もう殆ど終わりかけだけど)、後はもうオマケというノリになってしまって、いやにジャックが寛大でオイオイというはしゃぎっぷり、ちょっとサービス過剰では。同じハッピーエンドでもピリっと締めて欲しかった。

・「イトコのドム・フォッカーは来てないの?」に笑った。そんな名前ばっかりかい。

・「ジューイッシュ界のスーパースターであるダスティン・ホフマン」(byベン・スティラーがどっかで言ってたコメント)の円熟した演技が観られて楽しかった。だって「卒業」のカクカクした彼しか知らないもんだから……。

1 2 3 4 5 6 7