私の住む街でも映画祭が行われまして、
もちろん赤い絨毯に叶姉妹なんかとは到底無縁の上映祭なんですけど、見逃していた映画を見ることができました。

●真珠の耳飾りの少女
Girl with a Pearl Earing(2003)

〈青いあらすじ〉
画家フェルメールのメイド・グリートが垣間見た芸術の世界。彼の才能に引き寄せられていくグリートだったが…。

・原作を先に読んで、映画化されると知りとても楽しみにしていた映画です。一言で感想を言うと、原作の雰囲気にぴったり。
スカーレット・ヨハンソンもばっちり。コリン・ファースは男前過ぎる気がするけど、合ってる。奥さんもいいね、もうキーッ!っていうヒステリックな様子が目に痛いほどうまい。

・ストーリーは、原作に沿いながらもフェルメールとグリートを中心に再構成されて、緊張感が漂う二人の関係がうまく描かれている。
惜しむらくは、あのラストかなぁ。ブチンと切れてしまったような終わり方が少し残念です。最後の奥さんとのやりとりのシーンが見たかった。

・そういった「あ、ここんとこカットされてる」というシーンは頭の中で勝手に映像化。考えると、原作付き映画の楽しみってそういうところにあるのかも知れない。
逆に、漠然としかイメージできなかったオランダの風景や家のなかの様子を、ああこんな風だったのか、と確認しながら見るのはとてもとても面白かったのです。

・非常にセリフが少ないため、見る人によっては意見が分かれそうですが、
愛とも恋ともはっきりと自覚できない情念によって突き動かされ、「あるほんの一瞬ふれあって過ぎ去っていく」ある種無常感の漂う爽やかさのようなものを私は感じました。

・布の質感とか、耳飾りの重み、街の喧噪、肉の臭みなんかも伝わってきた。象徴的な街の広場も良かったな。
タイトルロールの絵が静かにアップになっていくのも印象的。

・登場人物がみな無口なため、若干家政婦は見た状態にお互いなっていて、戸棚の向こうから顔半分覗かしながらひっそりと観察。しかもただ見てるだけ。奥ゆかしいけど、なんか面白い。

・見られて良かった(しかも超満席。びっくり)。
アリガトウ映画祭!

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