●華麗なる激情
The Agony and The Ecstasy(1965)

〈あらすじの家賃〉
しぶしぶ教会の天井画を描くことになったミケランジェロ、依頼主である権威的な教皇との意地と誇りのぶつかり合いと葛藤、そして心のふれ合い。

・これは見てよかった!

・レックス・ハリソンて、見たところ(マイフェアレディとかクレオパトラとか)不遜な態度で鼻持ちならない男、でもどこか可愛げがあって憎めない、という役がぴったりはまる役者。
ここでもパターン通り、有能だが実は孤独を抱えている教皇の姿を人間味たっぷりに演じています。好きだなあ彼。
現役時代は「セクシーレクシー」という称号(?)をお持ちだったそうで、流した浮き名は数知れず。よ!色男。声が割とスットンキョウなのも愛嬌です。

・対してミケランジェロ役のチャールトン・ヘストンは、これまた無骨で非礼だけど、職人魂に溢れる真摯な芸術家を見事に演じている。彼には苦悩が似合うね、モーセとか。眉間に縦じわ。
シリアスな設定だけれど、教皇と画家のプライドバトルが、どこか掛け合い漫才みたいでユーモアもたっぷり。教「いつできんねん」ミ「できるときにできるんじゃー」教「だからいつやってきいとんねん!」みたいなやりとり。やたら家賃について確認してるのも可笑しかった。

・天井画の作業中にもミサが行われているのが興味深い。フレスコ画の制作過程も面白いし……時代的な背景もいいけれど、二人のまったくタイプの違う人間が、深い部分で(自覚してなくても)ほんの少しでも分かりあえた、というこのドラマ、とても好きです。
この、「少しだけの深い理解」にリアリティを感じるのです。

・冒頭「ミケランジェロ美術への誘い」みたいな映像がしばらく流れます。そのまま終わるんじゃないかと余計な心配をしてしまったよ。
原題のThe Agony and The Ecstasyは「苦悩と恍惚」という意。ゲージュツですね。

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