寒いのかぬくいのか、どっちかにしてー。

●ボーイズ・ライフ
This Boy’s Life(1993)

〈あらすじスカウト〉
トビーの母が再婚した相手は、見栄っ張りのワガママ男。どこにも行き場がない母子が、煮詰まって反乱、希望を取り戻すまで。

・見栄っ張りで強引で、都合が悪くなると誤魔化して、すぐ逆ギレする継父ロバート・デニーロ。
子どもだね。
実際側にいたらムカついてしょうがないと思うけど、見てる分には悪い面だけじゃなくて、自分なりに精一杯やっている雰囲気も垣間見えたりして、一括りに嫌なヤツで片づけるには惜しい人物。デニーロさんのおかげでしょうか。

・主人公がタフで打たれ強くて、けっこうしゃあしゃあとしてる、のも反面教師か。この人と一緒じゃなかったらそこまで大学行きたいとは思わなかっただろうし、それだけ影響を与えられた存在だったのね。
そんな父親と緊張感のある関係を結んでるのが説得力あり。
家の中にいやーな空気が常駐してても、タイミングによってはいいときもあるよね。本当にほんとに嫌だったら速攻逃げ出すけど(最後は結局そうなるけど)そこに至るまでの割り切れ無さが良かった。
血のつながりもないのに、だんだん似てくると自覚する主人公。これはリアルでこわい。
父親との争いというより、自分との葛藤のほうに同情しました。

・トバイアス・ウルフってディカプリオに似てるんでしょうか。
●グッド・ウィル・ハンティング
Good Will Hunting(1997)

〈天才!あらすじ君〉
傑出した能力を隠しながら生きる青年ウィル。カウンセラーとぶつかり合いながら、本当の自分を探し当てる。そして友人の言葉を胸に社会に旅立っていく。

・爽やかな青春映画。泣かせどころシーンもストレート。
天才だという設定を省けば、思春期特有の焦りや甘えや手に負えない怒りなどがウィルを通じて実感できるので、特別な人物の物語というよりも身近な感じ。

・会話のシーンが多くて、例えば仲間達やG.F.との他愛のない雑談、セラピーで興に乗ったときの話の盛り上がり方とか、そういった中に主人公(と観客)がハッとするようなセリフが自然に挿入されているのが上手いと思いました。
ベンとマットの阿吽の呼吸がシナリオに反映されてるんですね。

・ちょいと気になるのは、ものすごい頭脳を持ってるのに、わりと普遍的に屈折した青年像だったことか。すごい人ってのは、一般人には及びもしない孤高の苦悩を抱えている(というか、そうあって欲しい)と言う勝手なイメージがあったので。例え悲惨な過去があったとしても、希有な当たりくじを持ってるんだから(byウィルの親友)天才性を駆使しないのはなんか不自然に思いました…
が、彼の周囲の人たちもウィル同様一歩踏み出すストーリーでもあるわけなので、全体として清々しいからいいか。

・ロビン・ウィリアムスのもじゃもじゃ腕毛。暖かく包んでくれそう。
ミニー・ドライバーの笑い方がコワイ。何者?
●仮面の男
The Man In The Iron Mask(1998)

〈あらすじ伝説〉
フランス。若き王の圧政を見かねたかつての三銃士が立ち上がる。秘策は王に幽閉された双子の弟。しかしそこに忠臣ダルタニアンが立ちはだかる。歴史を舞台に繰り広げられる愛憎、権力、友情のグランドロマン。

・ええっ!?これは面白い!
徐々にツボにはまっていき、最後には笑いが止まらなくなってしまったんですけども。

・話をぐいぐい展開していく様は、昨今の韓流ドラマのようで痛快。もちろん話は大まじめなので(途中『4コマまんが・ポルトスくん』みたいなエピソードがいくつか挿入されてるけど)別におかしくないのですが、演出にさわさわくすぐられ、どうにも楽しい。
Tea for two、じゃなくてAll for one,one for allをくどいほど繰り返す技。「三銃士なのだ!どうだ!」と印籠をかざしてるみたいでついへへぇ〜と頭を下げてしまいます。人間味溢れるキャラクター達がちゃんと嘘くささを残してて、特に憂悶のダルタニアンには感動しながらも、ヒゲから目が離せません。

・ベタすぎるほどぶわっと広がるマント!三銃士の戦いを壁からそっと見守る奥ゆかしき仮面の男!お手本のようにカックリ息果てる英雄!冗談みたいに(コントみたいな)かっこいい突撃シーン!ジョン・ウーばりにハトが飛び交ってもいいぐらいのクライマックスに釘付け。

・笑いながら胸がすく。いろいろ空想を広げる余地と突っ込みどころがある、良い意味で大雑把な演出と力作感が気に入りました。でも普通に見ても面白いですので(遅めのフォロー)。

・ところでジョン・マルコビッチさんはいつ見ても顔が違うので、いつもクレジットを見てから気がつくのですが。目がおかしいのかも。
それからまた勝手に、この映画にキーファー・サザーランドが出てると勘違いしてた。別のでした。うーん、どうしていつも思いこんでしまうのか…。
お雛さんですね♪
ぼんぼりぼんぼり。

●星に想いを
I.Q.(1994)

〈あらすじ彗星〉
アインシュタイン博士の姪キャサリンに一目惚れしたエド。彼女の婚約者が気に入らない博士&仲間たちはエドを応援、彼を天才科学者に仕立て上げ、結ばせようとするが…。

・なんといってもこの話はおじいちゃんズ抜きには語れない。メグ・ライアンもキュートなので、そちらの恋のさやあてもいいのですが、ウォルター・マッソーを筆頭に、なぜかだんごのようにぞろぞろとくっつきもっつきしているおじーさん達がいい!
微笑ましすぎ。
優秀すぎて他にやることがないのか、無邪気に一所懸命。ちょっとやりすぎなところもグー。
いいですね、これで『アインシュタイン博士たちの事件簿』みたいなシリーズものを制作してほしかったぐらい。頭脳とおとぼけで毎回問題を解決していくのです。

・あとプリンストン大学の美しいキャンパス。映画の中の大学巡りも密かな楽しみなのです。

・なんちゃって話だけど心地よい嘘くささ。ほっと一息にぴったり。

・余談ですがマッソーさん、本名をマッチャンスカヤスキーと仰るそうです。なんだか耳に馴染みやすいですね。
シュレック2
SHREK 2(2004)

〈あらすじ使い〉
フィオナ姫の実家(遠い国)に招待されたシュレック一行が巻き込まれる珍騒動。

・Puss in Boots!
長靴をはいた猫好き(限定的)にはたまりません。合ってるのか合ってないのかわからないバンデラスさんの声。単にネコ呼ばわりされてるのもいい。月曜日が嫌いなネコ。ネコー!

・あとは巨大クッキーマンがぬおおッ…と怒る瞬間とか、擬人化したシュレックが馴染みの大工さん(鹿児島出身)に酷似とか、オマケの「遠い国タイムス」の記事がしょーもなさすぎて笑うしかないとか、アメリカンアイドルのパロディでサイモン登場におお!とか、D.ボウイの曲でまたノスタルジーに突入とか、そんな感じです。

・しかしDreamWorksのアニメはシュレック以外あまり関心が…。シャークテイル…人面魚だし。もうちょっと魚の体面を保ってもらいたい。次作の「マダガスカル」はベン・スティラーとデビッド・シュワイマーがアテレコしてるので見てみたいけど、それならいっそ実物で共演してほしいなー…。
どちらかというと角が丸いピクサーの絵のほうが好み。国産アニメの感覚に通じるからかな。

・ドンキーあってのシュレックですね。もはやエディ・マーフィそのものに見えます。
恋愛適齢期
Something’s Gotta Give(2003)

〈パリのあらすじ〉
劇作家のエリカは、年が離れた娘のBF・ハリー(超金持ち)が気に入らない。しかし彼が突然発作に倒れ、なぜか二人は同居するはめに。徐々に心を開いていく二人、これが忘れていた恋だと気づくエリカ、今までにない真剣な気持ちになるハリーだったが…。

・ロケーションが素敵、別荘がゴージャス、ああいう場所が東海岸にあるんですねぇ。うーん全身白い服を着て、石を拾いながら浜辺を歩きたい!いいなーマリン(娘=アマンダ・ピート。なんとなく小沢真珠風)になりたい…メンテナンスが大変そうだから子どもでいいや。

・好きなシーンはエリカが号泣しながらタイプを打ち続けるところ。エリカさんは恋に覚醒した途端スイッチが最大に入ってしまったみたいで、尻上がりにテンションが上がってます。そのあたりで大人の女としての可愛らしさを存分にアッピール。ほんとはギャルが好きなはずなのに、ぐらぐら揺れてるジャック・ニコルソン、好感が持てるおじちゃんです。最初どうしようかと思ったけど。オシリ丸見えパジャマも決まってる。
そして最後の橋の上での表情が…ああおじいちゃん(失礼)…!と胸がつまります。さすがです。

・毒にも薬にもならない役柄のキアヌ・リーブス、エリカの魅力を引き立たせるためのクレソンでしょうか。よく見るとヒゲのそり跡が奇妙にギザギザなのが気にかかる。

・まるまる劇の材料にされちゃって、普通の男ならひねくれるところだけど、そこがハリーの器のでかいところなのかなぁ。大人の機微は曖昧で難しいが楽しい。もう少し年齢を重ねてから観ればもっと実感がわくか、それとも羨望が強まるか切なくなるか…はて。

・志村けんもある日突然、意外にも熟年美女と結婚したりするのかなー。と、ふと頭を夜霧の渡し。
●カイロの紫のバラ
The Purple Rose of Cairo(1985)

〈あらすじのバラの人〉
映画だけが安らぎの主婦・シシリアのもとにスクリーンから抜け出した登場人物が愛を囁く。有頂天になるシシリア、現実と夢の間で揺れる彼女がやがて選んだ道は…。

・好きですね、これまた。
スクリーンから映画スターが出てくる話だと思っていたのですが、そのキャラクターが一人歩きするんですね、なるほど。ふわふわの綿菓子、でもシニカル味。見てるうちに、彼女の状況があまりにも紋切り型の酷さなので、リアリティの方がファンタジーな感じもしてきた。スクリーンの人たちに『自分たちのほうがリアルなんじゃないか』と言わせてるし、観客も架空の人物も同じように夢を見ているのか。

・映画の夢が主題だとすれば、これはもう激しく頷けるハッピーエンド。映画と観客の素敵なパートナーシップ。現実は厳しくて夢は甘い、なんてことよりも、人の逞しさと力強さを感じてむしろ清々しかったです。
厄介なのよね人生は、でも生きていけるのはなんででしょう。

・なんか可笑しかった点:
なんでスクリーンから抜け出したんだ、という会話で『ニュージャージーだから』という返しがあって妙に面白かった。あと「俺も好きにやる!」と言いだした別の登場人物が何をするかと思えば…のところ。よっぽどやりたかったのねソレ。

・映画に対する強烈な思い入れにワンクッション置いた作り、苦すぎず熱すぎず。合わせ鏡みたいに、映画と私たちが奥深く繋がってる(と思える)話でした。

・ともあれW.アレン作品は尺が短いので見やすい。割と重要なポイント。
関係ないけどシシリアの役は大竹しのぶが上手そうだなぁ。
●フォーチュン・クッキー
Freaky Friday(2003)

〈おれがあいつであいつがあらすじ〉
精神科医のテスは、過激なティーンエイジャーの娘アンナと対立してばかり。ある日目覚めると入れ替わっていた二人、お互いを理解すれば元に戻ると言うけれど溝は深まるばかりで…。

・けっこう好きなのです、入れ替わりもの。演技合戦が楽しいし。これはディズニーなので「ホットチック」のような身体的好奇心のまいっちんぐ感(=ほどほどのお色気という意味)はないのですが、かわりに親子の情にたっぷり的を当てているので意外とホロリとしたりする。

・たいてい朝目が覚めたら入れ替わってて→『ギャー!』なんだよね(元に戻るときは案外あっさり)。ちょっとづつ変わっていくという演出はどうでしょう。面倒ですか。たいてい入れ替わるのは正反対のキャラクター(もしくは異性)。じゃ、そっくりの双子で性格もよく似た二人が本人達も気づかぬうちに入れ替わってしまったら…みたいな話はどうだろう。ファンタジーサスペンスでさ。ちょっと見たい。ことない?

・娘役のリンゼイ・ローハンは堂々とした演技で上手いです。妙な落ち着きが日本の某アイドルを思い出させます。J.L.カーティス(=テス)の弾けっぷりも爽快、エヘ♪みたいな表情が可愛かった。

・あんなクッキーを気軽に人に勧めるのはどうかと思うよおばあちゃん。東洋の神秘はわかるけど。
ファンタジーを合理的に利用している模範例みたいな話ですが、ほのぼの感できっちりシメるところはさすが夢の殿堂、正統派の仕事です。

・蛇足。もし24だったら。キムとジャックが入れ替わると…うーん、あまり変化ないかもしれない。ジャックと大統領。アメリカが終わる。ジャックとニーナ。これはいけるかも。
●ミート・ザ・ペアレンツ
Meet The parents(2000)

〈寒い国から来たあらすじ〉
グレッグは愛するパムにプロポーズするため、まず父親に気に入られようと大張り切り。しかし曲者の親父を前にやることなすこと空振り。一発逆転を狙うも逆に窮地に立たされたグレッグは…。

・最近ベン・スティラーが好きになってきました。
追い詰めると楽しいB.スティラー♪ちょっと怒り肩でズンズン歩くところと、真一文字の口がお気に入り。

・グレッグがやったことは、かなりの確率で誰にも許して貰えないと思うのだけれど。燃えてるし。裏目に出すぎて表に返ったということか。しかし彼のシチュエーションには同情します。パムが素なばかりで当てにならないのに、がんばるグレッグがいじらしい。雨に打たれる子犬っぽい。

・お父さん(デニーロ)の設定は最後まで冗談(?)だと思ってた。大仰なわりには弾けっぷりが物足りない感じ。でもラブ度が高いコメディだからこれぐらいで押さえておくべきか。デニーロさんはこの役をものすごく作り込んでいるんでしょうか?一週間山にこもって脈を計る練習をしたとか。ないよね。

・ベン・スティラーの側にO.ウィルソンの影あり。この二人は二個イチなの?それにしてもB.スティラーはオーウェンのボケキャラをアップさせるブースターみたいな存在ですね。

・しかしあんな名前の人、ほんとにいるんだろうか。
←このジャケット絵いいですね。
「待ていィ〜〜!」みたいで。

●シャンハイ・ヌーン
Shanghai Noon(2000)

〈あらすじは弁髪〉
西部劇の時代。中国皇帝の近衛兵チョンは、誘拐された姫君を追ってアメリカへ。しかしそこは何もかもが未知の世界。インディアンの仲間になったり調子のいいお尋ね者と組んだり、なかなか姫のところまで辿り着けない…。

・西洋の鼻と東洋の鼻の邂逅。口ほどにものを言うお鼻。ジャッキーとオーウェンはなかなかいいコンビのように思われます。いや鼻はおいといて。
オーウェンが『なんかわかんないけどこの中国人オイシイやん』みたくワクワクした目でジャッキーを見てるのが面白い。天然タイプの二人が時々ズレた突っ込み合いをしているのが良いですね。

・ジャッキー映画を通しで見たのはこれが初めて。なので過去作品と比較できないのですが、私には十分動きも愛嬌もジャッキーらしく思えました。しかし若い頃のアクションはこんなものではなかったのであろう。

・ラストがよくわからん。お姫さんはそんなに見合い結婚をするのが嫌だったの?王女がそんな無責任で良いの?んんー?ジャッキーと相愛だったの?んー謎。

・オーウェンが絡むことで間とテンポが変調したのが効果的。ロイはもっともっとセコいキャラクターでも良かったかも。全体の雰囲気は良心的。
外国スターのハリウッド進出映画はあまり野心的でない方が成功するような気がします。
「フレンズ」繋がりで見るシリーズ、今回は離婚してもなんのその、ジェニファー・アニストンさんです。

●ポリーmy love
Along Came Polly(2004)

〈あらすじ「50!」〉
ハネムーンの真っ最中新妻に浮気されたルーベン。夢破れいきなりの別居生活に。失意にくれるルーベンはひょっこり幼なじみのポリーに再会。新しい恋を誕生させようと躍起になる。

・途中までジャック・ブラックだと勘違いしてたフィリップ・シーモア・ホフマン。どおりで柔和な顔だし髪の色は違うし、声も違うはずだわ。気づけ。

・時々遠近感がわからなくなるベン・スティラー。猫背。サルサ・ダンスが「ズーランダー」っぽかった。
彼は自分なりに必死に生きている人を真顔で演じるのが上手いですね。
ルーベンのキャラクターは役者のこだわりもあってか緻密に作られているけれど、ポリーの性格がいまいち曖昧だったのが残念。ジェニファー・アニストンの素の魅力に頼ってしまってる感じ。
トイレを溢れさせた(←このシーン汚くて笑う)ヤツとデートしようと思うぐらいだから優しい女の子なんだろうけど、どうも彼に惹かれる動機が薄いような。
あら、恋って理屈じゃないのでしたわね。

・お互い相容れない部分がわかっていながら、歩み寄ろうと努力するところはリアルで可愛い。しかしいくらがんばってもお腹の急降下は治らないと思うぞ。

・一人一人は個性的な役者なのだが、今回はお互い譲り合っててそれぞれの魅力が十分に生かされてないような気がする。もったいない。でもお得感はあります。

交渉人

2005年1月8日 アメリカもの
●交渉人
The Negotiator(1998)

〈あらすじ立てこもり〉
凄腕の人質交渉人ダニーは仕事もプライベートも順風満帆。だがある日相棒が何者かに殺され、犯人の濡れ衣を着せられる。自らの潔白をはらすべく、彼は立場を逆手にとって危険な賭けに…。

・S.L.ジャクソンは非常に印象深い顔をしているので、ただでさえ脇役であっても目立つのに主役と来た日にゃー目が釘付けになってしまいます。もはや顔が芸の域。

・こうなったら面白いのになぁ、と観てる側が予測する一歩先を見せてくれる物語展開なので、とても気持ちが良いです。意外性よりも、型どおりの面白さ。しかし交渉人と言うモチーフが良かったので、それがかえってスリリングでした。
主役自身にスリルがあるし。

・ダニーが実は汚職に関わっていた、と言うような設定だったら、もう一人の交渉人(K.スペイシー)との丁々発止が更に盛り上がったのではないかと思うけど。せっかくダニーを本心が読みにくい役者が演じているのだから。セイビアンが最初からダニーに同情的だったから、すんなりいきすぎな気もしないでもないのです。

・しかし円満解決したとは言え、いきなり腹を撃たれてるのに笑えるダニーはさすが。しかもS.L.Jならそんなに痛くなさそうに見えるのはなぜ。

・自分の身を必死になって守ろうとする姿に共感。途中で諦めちゃだめなのよね。
●ザ・ロイヤル・テネンバウムズ
The Royal Tenenbaums(2001)

〈ダルメシアンあらすじ〉
テネンバウム家の天才3兄妹、それぞれの事情で実家に戻ってくることに。すると長らく音沙汰が無かった父もひょっこり帰宅、彼の思惑は一体どこに?

・こだわってる。見るからにこだわっている。
実際音声解説を聞いてみたら監督のこだわりが炸裂してました。自分の中にある感覚を風呂敷から大事に出してる感じ。

・話のコアは家族の再生なんだけど、その骨組みに細かな装飾を施しているので色々な楽しみ方が出来る。好きなのは「ダルメシアンねずみを開発してリトルトーキョーで販売」ってところとか。こんなの本筋には関係ないのですが、そういうのの積み重ね方がとても上手くて、淡々としているキャラクターと話のテンポといいあんばいに混じり合ってます。

・父ロイヤルが好きだ。ラストシーンには思わずじーんとした(←洒落ではない)。
あとチャス親子のジャージの色が何気に変わってるのも良かったね。それからチャプターごとの挿絵。可愛らしい。イーライの部屋の変な絵画とかイーライ本人とか、パゴダにぷつっと刺されるロイヤルとか閉じこめられっぱなしだったコンドル(?)とかバックリーとか、とにかくこぼれている魅力を拾っていくのが楽しい。

・ところでオーウェン&ルーク・ウィルソンは兄弟だったのかー。またまた知らなかった。ルークってついてないトム・クルーズみたいな顔してるなぁと思っていたけど(失礼)、アダルト・スクールにも出てたっけそう言えば。

・独特の雰囲気ですが話はシンプル。重すぎないし軽妙。ガープの世界に似てるかな…。けっこうくすぐられました。

・スタスキー&ハッチが見たいなぁ。ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンの。
●隣のヒットマン
The Whole Nine Yards(2000)

〈東欧系のあらすじ〉
気弱な歯科医オズの隣に越してきたのは、懸賞付きの殺し屋。鬼嫁にそそのかされてマフィアの元締めに情報をたれ込みに行くが、事態は最悪の方向に…。

・前回リサ・クドロウを見たので、今度はマシュー・ペリー。フレンズつながりで鑑賞中です。

・チャンドラーのスピンオフドラマのようで、マシュー・ペリーってこういう役をすると上手いというより、これが地なんだろうなぁ。
この彼の持ち味に良くあったスタイルの話で、人がばたばた死んでもコメディの記号としか思えず、ウエットなところがないのが気に入った。

・ブルース・ウィリスの、訳のわからんところでのキレっぷりがいい。
そもそも私はポイントを外したところでキレる・弾けるキャラクターが好きなので(映画の中での話ですよ)、こういう本人は至って真面目だけれど端から見てたらどうもズレてる、そしてそれが愛嬌になってる人は気になります。
アマンダ・ピートも不気味可愛いくてテンション高いし。

・モントリオールが舞台なのもいい。最初の設定ではフロリダだったと監督が言ってましたが、ロケーションがこの妙な話を大いに盛り上げているので正解だと思う。透明感がある背景が話のリアリティを希薄にしてくれるので、ハリボテっぽい面白さが増してる。

・もひとつツボだったのは東欧風の名前。
ニコラス・オゼランスキー。ウフ。ジミー・チュデスキ。ムフフ。語感がよろしいではないですか。

・善悪考える間もなく人が死んでるし、また死人について誰も思い入れがない、生きている人間も誰も深く考えていないという、お後がほんとはよろしくないのによろしいような気がする話。わりと好きです。

・エンドクレジットのペリーさんのダンス、あれわざとチャンドラー風にしてるの?それとも素…?
●ロミー&ミッシェル
Romy & Michele’s High School Reunion(1997)

〈あらすじは付箋〉
ロミーとミッシェルは高校時代からの大親友。卒業10周年の同窓会に出席して、クラスメイトの鼻をあかそうとキャリアウーマンの振りをして会場に乗り込んだけれど…。

・ 良いです、この話。
コメディなのでハハハ〜で流せるんだけど、じーんと来る点があった。

・周りの生徒から浮いていたロミーとミッシェルの高校時代。見かけは派手だけど中身がオボコかった彼女たちは、価値観が違うモノをからかいの対象物としか見られない無邪気な人気者のお嬢様ズに苛められる。だけどへこたれず二人でがんばった。彼女たちに卑屈なところがないのが良かったなぁ。特にミッシェル。こういう自分が好きなものが何か本能でわかってる人はいいよね。

・それで、クライマックスでロミーが再会したかつてのいじめっ子に『あなた達に好かれようと思ってたけど、もういい。私があなた達を嫌いなんだから』というところでなんだかホロリとしました。
こんなところでプチ感動するとは思わなかったけど、これは心に来るセリフでした。

・ミッシェルはリサ・クドロウだけあって天然ぶりを発揮してたけど、ロミーは知性が女優さんからにじみ出ちゃってて、ちょっと中途半端だったかな?
でもバービー人形みたいにすらりとした二人が並ぶ画面は、なかなかスタイリッシュ。80’sで盛り上げるし、日本っぽいボケとツッコミが見られるのも興味深い。

・アホアホ的オシャレコメディなので腹を抱えて笑うというよりも、フッフッフと長井秀和笑いを浮かべる感じ。最後のダンスとか特に。
あとポストイットってなんだそりゃ。なんでそれを選ぶ…というところでちょっとポイントアップ。
ヘザーも良かったなー。クラスにいるメンツを日本の学校に置き換えても案外違和感ない。

・気の合う友達がいて、好きなことをやって、明るく生きてたらええじゃないかええじゃないか…ちゃんかちゃんか。
何も深く掘り下げてない話ですが、よしよしと頭をなでられたような気になる。
4年にいっぺんぐらい見たくなるかも。
●ラブリー・オールドメン
Grumpy Old Men(1993)

〈あらすじの湖〉
ジョン(ジャック・レモン)とマックス(ウォルター・マッソー)は、いがみ合いながらも腐れ縁のお隣さん同士。そんな二人の家の向かいに魅力的な女性アリエルが引っ越してきた…。

・ミネソタが舞台。いかにも寒そうですね〜。だけどこのロケーションはとてもグッド。あの凍った湖でのフィッシングは魅力的。挑戦してみたい!ワカサギ釣りで、氷に穴を開けて釣り糸を垂れるのに憧れていましたが、小屋を建てて魚釣りかー。楽しそう。

・そんな自然の過酷さもなんのその、おじいちゃんズが大活躍してくれる話です。個人的な経験からおじいさんにはとても弱いので、主役が画面に出るだけでウッとなってしまう。
しかもどちらのおじいさんもとても魅力的で、若いときに蓄積したものが多いほど、味のある老人になれるのだなぁと思いました。しみじみそれこそが財産だなーと。

・レモンさんのちょっと困ったような、照れくさげな顔と、マッソーさんのぽつんと一人残された子どものような表情が印象的だった。

・しかしアリエルにはあの二人の選択肢しかないのであろうか。ほんとにくっついてしまったので少し驚き。でもエンディングは粋でした。

・ジョンのパパ94歳がまたイイのだ。パパの前ではおじいちゃんズもおとなしくなるのがまた微笑ましい。パパは湖の上に住んでるのかしら。
動ける限り自由に生きるアメリカの老人。家族の結束を持ちながら、こういう生活を維持するのは日本人にはなかなか難しそうです。

・おじいちゃんとクリスマス好きの私にはとても沁みました。同じ嗜好(?)をお持ちの方にはおすすめです。
ブラボーおじいちゃん!
さささ寒い。
こたつ、こたつ布団はどこだ。

●恋人よ帰れ!わが胸に
The Fortune Cookie(1966)

〈あらすじブンブン〉
フットボールの試合中、勢い余った選手に吹っ飛ばされたカメラマン・ハリー(ジャック・レモン)。ちっとも怪我してないのに、チャンスとばかりしゃしゃり出てきた義兄(ウォルター・マッソー)の口車に乗せられて保険金詐欺の片棒を担がされるが…。

・メグ・ライアンと共演してたウォルター・マッソーの若き日を見てみよう。ということで見た。そしたら、なんと若くない。こないだ見た映画(電話で抱きしめて)がおじいさんだとしたら、軽めのおじいさん(なんじゃそりゃ)。
調べてみたら1920年のお生まれだから、この映画公開時は46歳か。おじいさんというには若すぎますね。すみませんマッソーさん。

・この監督の特徴なのかどうか、けっこうエゲツない保険金詐欺なのにもかかわらず、全体的にちょこまかほのぼのしてて、お目当てのマッソーさん演じる隙あらば儲けようとする悪徳弁護士も、そんなに嫌なヤツに見えない(いい人にも見えないけど)。
逆に回りに利用されて、正直さが裏目に出てるハリーもそんなに可哀想に思えないし、つまりみんな善悪は併せ持ってるけど、その強弱が違うというところでしょうか。その辺りでフフフと笑えます。

・刺激的なドタバタコメディもコントも楽しいですが、こーゆー真綿でくるんだような(?)ゆあーんとした笑いもいい。といってもぬるいわけでも無く、すごく練られた末に生まれたほんわかさという感じ。
オチも座りがいい。
雨の日に寝そべって見るのに丁度良いです。

・マッソーさんの芸達者ぶりも見られたし、よし今度はジャック・レモンを見よう。
ラブリー・オールドメンも見てみたいなー。

・まったく原題を反映してない邦題だけど、わりと好きです。ああ60年代かーという気に不思議にさせる。時代によって邦題の付け方にも特徴があるようで、調べて見ると面白いかも。
●アダルト♂スクール
Old School(2003)

〈あらすじオブサイレンス〉
ひょんなことからキャンパス内に住むことになり、なぜかフラタニティを新設してしまったミッチたち。青春の日々を取り戻しパーティ三昧。だけど大学側に睨まれて大ピンチ、麻酔銃も刺さっちゃう。

・うーんどうでしょう。面白いことは面白いけど、笑った顔が美川憲一みたいな表情になってしまう。つまり口の端がちょっと吊るような。変なところでエロいし、なにげにかなりブラックだし。

・フラタニティってほんとにあんなのかなぁ。rushってあんなの?でもあんな感じなんだろうなーとちょっと納得、多少の誇張はあるとしても。感覚としてよくわからない存在だったので、垣間見られたのはウレシイ。

・しかし特筆すべきは、とにもかくにもウィル・フェレルです。
なんかもー、この人おかしすぎる。この人のおかげか、すっとぼけ感が炸裂、コメディというよりコントの領域。彼がプールに落ちるとこ、「卒業」のパロディなんですね。ばかばかしくて激しく可笑しい。彼に釘付け。
目が素なんだよなぁ。いいなぁ。

・全体的に、半テンポずらしたようなところで思わず生じる笑いは、ちょっと香港っぽいかも。後半少林サッカーみたいな展開だし。

・ジュリエット・ルイスが!ミスターに見えてしまったんですけど。ゴメン、でもなんか顔半分青くない?

・残念なのは、あんまり日本人にはフラタニティ自体に馴染みがないので、細かいところで「あーそうだ大学ってこんな感じだった…」というキャンパスライフを回顧するツールになってないこと(というかアメリカ人にはなっているのか?)。んが、普遍的に青春てワンツースリージャンプ(by岡村靖幸)だし、へーそういう感じなんだねアメリカは、という点では興味深かったです。

・オマケに「アクターズスタジオ」のパロディが収録されているのですが、これがまた笑える。
やっぱりオカシイよウィル・フェレル。

・しかしやっぱりこの邦題は微妙だ。考えた末だろうなという気はするけれど。
自分の無頓着さを反省するできごと。
またまた知らなかった、私の愛するハンス(・グルーバー@ダイハード)が、アラン・リックマンという人でハリポタに出てて(黒いからわからんかった)、あまつさえこんな小洒落た映画に出てたなんて〜。
ああ、危うく見逃してしまうところだったこの(私にとっては)重大な事実。くわばらくわばら(?)。

●ラブ・アクチュアリー
Love Actually(2003)

〈あらすじ到着口〉
みんなの小さな物語。幸せって存外足もとに転がってるのかも知れませんネ。

・というわけで私はハンスを探しました。イメージが固まりすぎてて、えっ!あなたがハンス!?確かに声は一緒だけれど!と一瞬びっくり。
でもよーく見るとああ、あなたはやはり…という面影が(同一人物なんだから当たり前だけど)あって、なんか10年ぶりぐらいに親戚のおじさんに会ったような気持ち。身近に例えてすみません。

・ダイハードは普遍的にオモシロイ話ですが、やっぱりハンス(と楽しいお仲間)の存在は大きい。
あの、彼が人質の前で、天井に銃を向けるポーズは、サタデーナイトフィーバーでトラボルタが天を指さす神々しいお姿とともに、脳裏に焼きついて離れないのであります。

・そんなこんなのラブ・アクチュアリー。
アラン・リックマンとミスタービーンのシーンが楽しかった。なんかちっちゃくなったね、ローワンさん。もっと登場してくれても良かったのに。
ハンスって、よーく見たら関根勤みたいで、二枚目ながら間延びした感じが、なんかいいんですよねー(大ファンの方スミマセン)。
そして何でもないときに、なんでかニヤリとしてるように見えるところが。何の含みもないんでしょうけど。

・そんな彼のエピソードの結末は、ちょっとあっさり片づいちゃったのでアレ?って感じでしたが。熟年のケースはビタースィートなんでしょうかね。

・ヒュー・グラントと米大統領の会話は面白かった。なんだそりゃーで笑える。ちょっと国を任せるのは不安だけど。

・ずいぶんBGMで盛り上げてくれるので、映画館で見たらカタルシスー!って感じですーっと気が抜けて良い気分になるんだろうな。
みんなの関係がどこかで繋がっているけど、こんがらかってぐちゃぐちゃになってなくてあっさり風味。
ちょこっとづつの幸せを集めたら、こんなに大きな幸せ。
今はなんでも「プチ」な時代だから、なかなかマッチしてるなぁと思いました。

・しかし私にとってはハンス・アクチュアリーなのでした。
●電話で抱きしめて
Hanging Up(2000)

〈あらすじ三姉妹〉
妻と別れて以来、わがままし放題になってしまった父親に手を焼くイブ。姉妹とも疎通がうまくいかずに苛立つ毎日。だがやがて家族への深い愛情を確認し、温もりを取り戻す。

・「めぐり逢えたら」から7年後のメグ・ライアン。

・ほんとうは、父親役であるウォルター・マッソーに注目したいところですが、まったく無知なためあれこれ感慨を巡らすことが出来ずに残念。でもこれを機会に過去の映画に遡ってみようと思いました。

・恋愛絡みかなと思わせて、まったく色恋抜きの家族ストーリー。
メグにすでに夫と子がいて、え、もしかしてこの人と恋に落ちたりするの?と思った人とは当然何の関係もなく、淡々と進む話が味気ないっていえば味気なかったかな…。
キャラクターはいつものきゃぴきゃぴにフラットがかかってる感じで、楽しくても疲れてても感情の起伏が激しいメグ、でも今回は見ててちょっと辛かった。
勝手な押しつけで申し訳ないけど、彼女に限ってはワンパターンでけっこう。恋にうきうきしてる永遠のスクールガールみたいな役どころを全うして頂きたいと思ってしまいました。

・ひとつの家族のちいさなほころびを、針でちくちくっと修繕する話。
父親よりも母親との関係にフォーカスしても面白かったかも。母親の生き方と娘達との対比とか。

・リサ・クドローが好きなので期待してましたが、うーむフィービー(@Friends)と変わるところがほとんどない(弾けてないけど)役柄でちょっと残念。ちがう側面を見てみたかったような。

・しかしアメリカって事故に対してあんなに大雑把なのかしら。あんまり車を大事にしないからいーのかなー。あのお医者さん(と母親)の役割がイマイチよくわからない。通りすがりの癒し人か。

・こういう話は、何年か経ってから見直すとまた印象が変わるかも。
いまのところは、なるほどねーって感じです。

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